ハイビスカスティーは、疲労回復・美肌・高血圧予防 などの効果があるとされる健康茶。
酢やビタミンCを大量に含むため、酸っぱい風味が特徴です。
古代エジプトの女王クレオパトラが、美を保つ秘薬として飲用していたと言われるほど美容効果が高いとされています。
ハイビスカスティー 基本情報
原料 | 西アフリカ原産の「ローゼル」というハイビスカス種。 |
原料の主な産地 | タイ、インド、アフリカなど熱帯地域 |
カフェイン | ノンカフェイン |
主な成分 | ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、カリウム、アントシアニン、ポリフェノール、ペクチン、アミノ酸 |
作用 | 利尿作用、抗酸化作用、発汗抑制作用、疲労回復作用、代謝促進作用 |
味覚 | 酸味があり、甘くないクランベリージュースのような風味。 |
ハイビスカスの歴史
ハイビスカスというと、ハワイに咲く大きな赤い花をイメージする人が多いと思いますが、実際はエジプト原産の植物。日本では沖縄諸島や、奄美大島などの暖かい地方で見ることができます。
交配が進んだ現在、ハイビスカスの種類は、なんと約3,000種にもおよび、花の色や形も多種多様。私たちの目を楽しませてくれます。
ハイビスカスティーに利用されるのは、ローゼルという品種で、ハワイのハイビスカスとはかなり異なった花を咲かせます。
このローゼル種は、古くからアフリカや中南米、東南アジアなどで、お茶やジャム、ゼリーなどに加工されて一般的に食用として利用されています。
南インドでは、カレーの材料にもなっているほど生活の一部に溶け込んでいるそう。
お茶としては、暑い気候に適したアイスティーとして飲まれることが多いようです。
日本では、主に美容や健康のためのハーブティーとして広く知られています。
ハイビスカスティーの期待できる効能
- 疲労回復
- 美肌・アンチエイジング
- 肩こり・冷え性改善
- 整腸作用
- 体のほてりを取る
- 高血圧予防
- 糖尿病予防
- 肝臓病予防
- ダイエット
- ガン予防
ハイビスカスティーの約15~30%は、「酸」で構成されています。
リンゴ酸、クエン酸、ハイビスカス酸など果物やワインにも含まれている成分で、これらがハイビスカスティーに数多くの薬効をもたらしているのです。
ここで、ハイビスカスティーに含まれる有効成分が、人間の体にどのような作用をするのかをご紹介します。
酸類が、疲労物質を排出したりガン細胞を抑制したりと幅広い効能を発揮する
リンゴ酸、クエン酸、ハイビスカス酸、プロトカテキン酸など、ハイビスカスティーの主要有効成分である酸は、疲労物質と呼ばれる乳酸の蓄積を防ぎ、溜まった乳酸の分解を促進することから、疲労回復や筋肉痛予防効果があるとされています。
特にクエン酸は、レモンにも含まれている成分で、疲労回復効果が高いことで有名ですね。
クエン酸には、悪玉コレステロール(LDL)を減らし、血流を改善する作用もあるので、肩こりや冷え性など、代謝の低下や血行不良からくる体の不調改善や、高血圧予防にも効果的です。
リンゴ酸やクエン酸による血糖値降下作用も、研究により確認されていて、糖尿病などの血糖障害を改善する効果も期待できます。
血液の成分が改善することにより、血管壁が強化され、心臓病予防効果もあり。
ハイビスカス酸には、糖やデンプンを吸収するアミラーゼの産生を阻害し、糖分の体内への吸収を抑える作用があります。
つまり、ハイビスカスティーは炭水化物や糖分の吸収を緩やかにするので、ダイエットにも効果的というわけです。
また、ある研究によると、ハイビスカスティーに含まれるプロトカテキン酸は、ガン細胞の増殖を抑制し、アポトーシス(自滅)させるという結果が出ていることも注目に値します。
これら酸類によるハイビスカスティーの酸味は、唾液の分泌を促して発汗を抑える働きをします。
体の熱を冷まして、気持ちを落ち着かせる効果があるので、スポーツで汗をかいたときの水分補給にハイビスカスティーをアイスで飲むと良いとされています。
豊富なビタミンCが皮膚を若々しく保ち、肌荒れにも効く
ハイビスカスティーには、ビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCは、老化現象を引き起こす活性酸素から細胞を守り、シミやシワなど肌の老化を防ぐ効果があります。
リンゴ酸やクエン酸などの新陳代謝を高める働きとビタミンCとの相乗効果により、肌のコラーゲン再生を促進し、美肌効果が高まります。
また、皮膚の炎症を抑える作用もあり、ニキビや吹き出物の治療に民間薬としてハイビスカスティーが使われていることからも、美肌効果は証明されています。
カリウムが、過剰な水分や老廃物を排出して血液成分を改善する
ハイビスカスティーは、利尿作用があるカリウムを含んでいます。
体内の余分な水分や老廃物を尿として排出するので、むくみや二日酔いの改善に効果があるとされています。
また、カリウムの利尿作用と、クエン酸の血流改善効果とが相まって、高血圧予防効果を高めます。
ある研究によると、数週間、毎日3カップのハイビスカスティーを継続して飲み続けることで、血圧降下作用が確認できるそうです。
赤い色素アントシアニンが、眼の疲れやアレルギー症状に効く
ポリフェノールの一種であるアントシアニンは、ハイビスカスティーの赤い色素成分。
ブルーベリーにも含まれている成分で、眼精疲労や花粉症の症状を抑える効果があります。
また、抗酸化作用によって細胞を活性化させるので、肝臓病も予防することが研究により明らかとなっています。
食物繊維の一種ペクチンが、腸をスッキリさせる
ハイビスカスティーには、果物を煮込むとゲル化するペクチンという成分が含まれています。
ペクチンは胃腸で消化できないので、体内で食物繊維となり、腸の調子を整える働きをします。
特に、便秘や下痢など大腸の不調を改善するといわれています。
ハイビスカスティーの副作用
ハイビスカスティーには血圧を下げる作用があり、低血圧や血圧降下剤などを使用している人が飲用すると、血圧が下がりすぎる可能性があるため注意が必要です。
低血圧がひどくなると、めまいや吐き気が起き、最悪の場合、心臓や脳に損傷を与えることもあります。
また、ごくまれに、体質によりハイビスカスティーでアレルギー反応が起きる場合があります。
目のかゆみや充血、鼻炎などのアレルギー症状が現れた場合は飲用を止めてください。
これもまれな症例ですが、ハイビスカスティーを飲んで幻覚症状が起きたという報告もあります。
その場合、ふらつき、フワフワした感覚になる場合があるようなので、運転中にハイビスカスティーを飲むときは注意してください。
ハイビスカスティーは、子宮や骨盤周辺の血流に影響して生理機能を刺激し、ホルモンに作用することがあるため、ホルモン療法や避妊薬を服用している人は、医師と相談してから飲むことをおすすめします。
妊娠中の女性は、ハイビスカスティー単体で飲まずに、ローズヒップティーやタンポポ茶などとブレンドすると副作用のリスクなく安心して飲むことができます。
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ハイビスカスティーのかしこい飲み方
ノンカフェインのハイビスカスティーは、いつでも好きなタイミングで飲むことができます。
体の熱を取る作用があるので、運動した後やお風呂に浸かった後にアイスで飲むと、ほてりが取れてスッキリするはず。
目の疲れを取る作用もあるので、パソコン仕事やネットサーフィンしながら飲んでも良いですね。
酸味が気になる時には、ハチミツやシナモン、クローブ、ナツメグ、ショウガなどでアレンジするのも◎。
ハイビスカスティーと相性の良いローズヒップティーとブレンドすると、ビタミンCが倍増するだけでなく、ハイビスカスティー単独で飲むより副作用のリスクも少なくなります。
ハイビスカスの科学研究
ハイビスカスの心臓血管疾患における影響を調べた研究
ナイジェリアの大学による研究結果では、ハイビスカスの抽出液は、高血圧を患っている人々や心血管疾患のリスクが高い人々にとって有益な抗高血圧および心臓保護特性があることが示唆されています。
This study suggests that HS exhibits antihypertensive and cardioprotective effects in vivo and supports the public belief that HS may be a useful antihypertensive agent.
2型糖尿病患者におけるハイビスカスの効能を調べた研究
イランの大学研究により、ハイビスカスティーには、低脂血症および低血糖特性があることが明らかとなりました。このことは、ハイビスカスティーが、糖尿病などの血糖障害疾患に有益であることを示唆している。
A research study conducted on patients with type II diabetes suggests that consumption of hibiscus sour tea lowers cholesterol, triglycerides and low-density lipoprotein cholesterol, which helps to manage this unpredictable disease.
The results of the present study showed that ST has a significant effect on blood lipid profile in patients with diabetes.
ハイビスカスの色素成分アントシアニンの肝臓病変における作用を調べた研究
台湾の大学研究により、ハイビスカス色素は、ラットの肝臓病変による炎症、白血球浸潤、および壊死などの発生率を減少させることが明らかとなりました。
The histopathological evaluation of the liver revealed that Hibiscus pigments reduced the incidence of liver lesions including inflammatory, leucocyte infiltration, and necrosis induced by t-BHP in rats.
ハイビスカスの白血病細胞における影響を調べた研究
台湾の大学研究により、ハイビスカスに含まれるプロトカテキン酸が、白血病細胞をアポトーシス(自滅)させる誘導因子であることが明らかとなりました。網膜芽細胞腫リン酸化およびBcl-2タンパク質が、初期段階で重要な役割を果たす可能性があることを示唆しています。
These data suggest that Hibiscus PCA is an apoptosis inducer in human leukemia cells, and that RB phosphorylation and Bcl-2 protein may play a crucial role in the early stage.