イカリソウ茶は、精力増強・不妊・骨粗しょう症 などに効果があるとされる健康茶です。

春に赤紫色の花を付け、その形が船の錨にそっくりなことから、イカリソウという名がつきました。中国で古くから精力剤として用いられてきた漢方生薬であり、お茶として継続的に摂取することで、徐々に効果が現れます。

イカリソウ茶 基本情報

原料 イカリソウの茎と葉
原料の主な産地 中国原産だが、アジアから南ヨーロッパにかけて自生している。
カフェイン ノンカフェイン
主な成分 イカリイン、エピメジン、マグノフリン、フィトエストロゲン
作用 精液分泌促進作用、血流増進作用、骨形成作用
味覚 苦みが強い。

イカリソウの歴史

小林一茶はイカリソウを愛飲していました。

 

イカリソウは、中国漢方で「淫羊藿(いんようかく)」と呼ばれ、精力剤として有名な薬草。
イカリソウを食べる羊は一日100回も交尾をするという言い伝えが、呼び名の由来だそうです。

その精力剤としての薬効は高く、中国最古の薬物書「神農本草経」に、「之を服すれば、好んで陰陽(性行為)をなす」とイカリソウについての記述があることからも、今で言うところのバイアグラと同様に扱われていたことが分かります。

古く日本では、江戸時代の俳人、小林一茶がイカリソウを愛飲していたようです。
小林一茶は、58歳で最初の結婚をし、傷害に3人の妻をめとり5人の子供を作ったことからも、イカリソウの精力増強作用はうかがい知ることができます。

1930年代に、医学的研究でその精力増強効果が確認され、現在では、滋養強壮効果のある医薬品「養命酒」や「ユンケル」などにイカリソウの有効成分が配合されています。

【養命酒の成分】

イカリソウの生薬名「インヨウカク」が記載されています。


資料引用:養命酒公式サイト

イカリソウ茶の期待できる効能

  • 勃起不全
  • 早漏
  • 滋養強壮
  • 子宮・卵巣の発育不全
  • 不妊症改善
  • 骨粗しょう症予防
  • 関節炎

ED治療薬と同様の作用があるイカリソウ。
お茶はクスリほど急速な効果はありませんが、継続的に飲用することで、少しずつ体に効いてくるはずです。

ここで、イカリソウ茶の含まれる有効成分が、人間の体にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。

ED治療薬と同じ作用をするイカリインが男性機能を高める

イカリソウには数十種類もの異なるフラボノイド化合物が含まれていて、イカリインもその一つ。

フラボノイド類は抗酸化作用があり細胞の老化を防ぐ働きをしますが、イカリインには抗老化作用だけでなく、勃起不全治療薬と同様の効能もあり、動脈の平滑筋を弛緩させ、より多くの血液を生殖器官に送る働きをします。

性器周辺の血流が増えることで、男性生殖機能を活性化させるのです。

精液を作りだすエピメジンが性衝動を引き起こす

イカリソウ茶の含まれるエピメジンは、精液分泌促進作用があります。
性ホルモンの分泌を促し、知覚神経を興奮させるので、性衝動が起きやすくなります。

脳の疲れを取って血流を改善するマグノフリンが精力をアップさせる

マグノフリンは、アルカロイドの一種。
アルカロイドは、脳の疲れを取り、動脈内の血流をスムーズにする作用があることが分かっています。
イカリソウ茶の主要有効成分イカリインとの相乗効果により、生殖器への血流を増進します。

女性ホルモンを高めるフィトエストロゲンが関節の炎症にも効く

イカリソウには、植物由来エストロゲンであるフィトエストロゲンが含まれていて、女性ホルモンエストロゲン類似作用があります。
イカリソウ茶を飲むことは、閉経後女性のエストロゲン欠乏によって起こる骨量減少を防ぎ、関節炎や骨粗しょう症を予防する効果が期待できます。

イカリソウ茶の副作用

イカリソウ茶は、飲みすぎると吐き気、喉の渇き、めまい、鼻血などの一時的な副作用が起きる場合があります。

他の医薬品との薬物相互作用はないとされていて、適量を守れば安全なお茶だと言えますが、ガン、心臓病、肝臓病、糖尿病など重大な健康上の問題を抱えている人は、医師と相談の上、飲用するようにしてください。
血液凝固を妨げる作用もあるので、出血性疾患のある人や手術後の人は飲むのを避けてください。

また、イカリソウ茶はホルモン濃度に影響するので、妊娠中、授乳中の女性は飲用してはいけません。

イカリソウ茶はどこで手に入る?

イカリソウ茶に含まれる有効成分は、日本では医薬品に認定されているため、厚生労働省の許可がなければ販売できません。
一部の大きな漢方薬局や生薬店などで乾燥したイカリソウ生薬を買い求めることができるようですが、販売しているメーカーや店舗は少なく、手に入りづらいお茶です。

また、イカリソウ単体で飲むと苦みが強く美味しくないことも、一般的に普及しない理由かと思われます。

手間はかかりますが、自分でイカリソウを栽培してお茶にするのも一つの方法。

イカリソウの茎と葉をよく洗い、ヒモで束ねて風通しの良い日陰で逆さに吊るし、7~10日ほど乾燥させれば、茶葉が出来上がります。

 

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イカリソウの科学研究

イカリソウに含まれるプレニールフラボノイドの活性に関する研究

日本の研究機関により、イカリソウに含まれるフラボノイドには、エストロゲン類似作用があることが確認されています。
イカリソウには、閉経後女性のエストロゲン減少による諸症状を防ぐ可能性があるようです。

Various flavonoids possessing isopentenyl side chains in the A-ring have been prepared and evaluated for their ability to bind estrogen receptor.

Prenylflavonoids: a new class of non-steroidal phytoestrogen (Part 1). Isolation of 8-isopentenylnaringenin and an initial study on its structure-activity relationship.

イカリソウの成分イカリインのテストステロン類似作用についての報告

中国での研究により、イカリインは生殖器の状態を改善し、男性ホルモンテストステロンの循環レベルを増加させます。また、骨形成を促進する可能性もあります。また、イカリインは、陰茎海綿体平滑筋細胞のアポトーシス(自滅)を抑制することも明らかとなりました。

Icariin improved the condition of reproductive organs and increased the circulating levels of testosterone. (2) Icariin treatment also improved the steady-state serum BGP and might have promoted bone formation. At the same time, it decreased the serum levels of StrACP and might have reduced the bone resorption. (3) Icarrin suppressed the extent of apoptosis of penile cavernosal smooth muscle cells.

The testosterone mimetic properties of icariin.

イカリソウの成分イカリインの骨再生効果を調べた研究

東京大学での研究により、イカリインは、老化したマウスの骨形成を促進しました。
イカリソウは、骨粗しょう症改善薬として役立つ可能性を示唆しています。

Treatment of senescence-accelerated mouse prone 1 and senescence-accelerated mouse prone 6 models further demonstrated that icariin was able to enhance bone formation in vivo.

Icariin: a potential osteoinductive compound for bone tissue engineering.