フェンネルティーは、消化不良・口臭・生理痛・関節炎 などに効果があるとされる健康茶。

何千年も昔から消化補助の薬草として使われていたフェンネル。
近年の研究により、ホルモンに影響したり、炎症を防いだりといった薬効も明らかとなっています。

フェンネルティー 基本情報

原料 フェンネルの種子
原料の主な産地 地中海周辺原産だが、世界各国で栽培されている
カフェイン ノンカフェイン
主な成分 アネトール、フェンコン、α-ピネン、リモネン、ケルセチン、ビタミンC、カリウム、フラボノイド
作用 抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、消臭作用、利尿作用、鎮痛作用
味覚 スパイシーな香りとほのかな苦みがある

フェンネルの歴史

お茶は種子を利用しますが、白い球根部分も食用となります。

 

フェンネルは史上最古の作物の1つで、古代ローマで滋養強壮や消化促進効果がある薬草として用いられていたといいます。

民間療法のクスリとして人々の生活に浸透していましたが、盛んに利用されるようになったのは中世になってから。
16世紀のヨーロッパでは、種子を薬用や入浴剤として用いるほか、邪気を払うパワーがあるとされ呪術にも利用していました。

日本には、平安時代に中国経由で伝来。
江戸時代には栽培がおこなわれ、種子を収穫して乾燥させたものを胃薬として服用していたそう。

現在、世界各国でハーブティーや、魚の臭み消し、酒類の香りづけ、カレーのスパイスなどの料理材料として使われています。

フェンネルティーの期待できる効能

  • 生理痛改善
  • 生理周期を整える
  • 母乳の分泌促進
  • 更年期症状緩和
  • 骨粗しょう症予防
  • 関節炎緩和
  • 消化促進
  • 胃腸病予防
  • 腸のガスを排出
  • 食欲を抑える
  • むくみ解消
  • 口臭改善
  • 高血圧改善
  • 動脈硬化・ガン予防

フェンネルティーの2つの芳香成分は、地域によって異なるバランスで含まれているので、産地によって風味も違ってきます。
いろいろな産地のフェンネルティーを飲み比べてみるのも楽しいですね。

ここで、フェンネルティーに含まれる有効成分が、人間の体にどのように作用するのかをご紹介します。

女性ホルモン類似作用のあるアネトールが、ホルモン系トラブルを解決する

フェンネルの芳香成分の1つアネトールは、女性ホルモンエストロゲンと同様の作用があります。

エストロゲンは、生活習慣の乱れやストレス、加齢などが原因で分泌が少なくなりやすく、減少してホルモンのバランスが崩れると生理不順や生理痛、あるいは更年期症状が起きてしまいます。

フェンネルティーを継続的に飲むことで、生理周期を整え、月経前後の不快な症状や更年期障害を和らげることができます。
そして、ホルモンバランスが整うことにより、女性の妊娠力を高めたり、性欲増進などの効果があるとされています。

また、アネトールには骨からカルシウムが溶けだすのを防ぐ作用や炎症を抑える作用もあり、骨粗しょう症の予防や、関節炎の緩和、正常細胞がガン化するのを防ぐ効果などもあります。

フェンコンが食物の消化を早め、口臭も消す

フェンコンも上記アネトールと同様に、フェンネルの香りを作りだしている精油成分。
フェンコンは、胃腸に作用して、消化機能を正常化する効能があり、腸でのガス発生を抑えて体外へ排出したり、食欲を抑える効果があります。

消化プロセスをスピードアップするので、腸のぜんどう運動が活発になり、便秘を解消
胃腸の働きが良くなることで消化が促進されるので、下痢になることはなく、食べ物の栄養成分は確実に吸収されます。

フェンネルティーは過食を防ぎ、腸をスッキリさせるので、ダイエットにも適しているということです。

インドでは食後にフェンネルの種子を噛む習慣がありますが、これは、フェンコンによる消臭効果を期待してのもの。
フェンネルは、食事の消化だけでなく、食後の息のニオイも消してしまうのです。
殺菌作用により、歯や歯茎を傷めることなく、口の中をスッキリ爽やかにすることができます。

α―ピネンとカリウムが要らない水分を排出し、血流を改善する

α-ピネンは、腎臓機能を高めて体内の水分量を調節します。
余分な水分や老廃物を排出するので、むくみや水太りなどを解消

カリウムも利尿作用があり、尿の量を一時的に増やすことで、過剰な水分を減らします。

体内の水分とナトリウム量が適正になることで、代謝が促進されて脂肪燃焼効果がアップ。

フェンネルティーは、カロリー消費を高める効能もあるのです。

さらに、α―ピネンとカリウムには、血液をサラサラにし、血管を広げる作用もあり、高血圧改善や動脈硬化予防などにも効果を発揮します。

心身に作用するリモネンが、ココロを安定させ、病気を防ぐ

リモネンは、神経に作用して不安感やストレスを取り除く作用や、新陳代謝を上げて血液中のコレステロールを減らす作用があります。

ストレスを感じると、だれでも胃腸の働きが悪くなりがち。
フェンネルティーは、上記フェンコンの整腸作用と、リモネンのストレスを和らげる作用により、神経性の胃腸病予防に効果的なのです。

また、コレステロール値が下がることは、肝臓に送られる脂質が減ることにつながるので、内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果が見込めます。

ケルセチンやフラボノイド類がカラダを若々しく保ち、ガンをも防ぐ

フェンネルには、ケルセチンやフラボノイドといった抗酸化作用のある成分が多く含まれています。
抗酸化作用とは、活性酸素による細胞の酸化を防ぎ、体をサビから守る作用のこと。

これらの成分は、スーパーオキシドジムスターゼという酵素の活性を高めて、活性酸素を除去し細胞を守り、炎症を和らげます。

それゆえ、老化やガンなどの病気を防ぐ効果があるのです。

フェンネルティーの副作用

フェンネルティーは、穏やかに体に作用するので、幼児が飲んでも安全なハーブティーだと言われています。

ただ、下記の状態にある人は飲用に際して注意が必要です。

まず、ニンジンやセロリにアレルギーがある人。
フェンネルも、ニンジンやセロリと同じアレルゲンを含んでいるため、フェンネルティーの飲用も避けた方が賢明です。

また、乳がんなどホルモン系疾患治療を受けている人。
フェンネルティーはホルモンに作用するので、医師と相談してから飲用することをおすすめします。
子宮を刺激する可能性もあるため、妊娠中の多量の飲用は避けてください。

フェンネルティーのかしこい飲み方

効果を高めたい場合、種子をすり鉢でつぶして利用する。

 

フェンネルティーは一日1~2杯が適量とされています。

ノンカフェインなのでいつでも好きなタイミングで飲むことができます。

食事の前後に飲むと、消化効率が促進され、口臭を予防、ダイエット効果も高まる、と一石三鳥。

効果を高めたい場合は、種子をすり鉢などで少し砕いてから熱湯を注ぐと、より多くの有効成分を抽出できます。

スパイシーで独特な味わいが苦手であれば、紅茶とブレンドしてみてください。
フェンネルの風味がアクセントになって、美味しさ倍増です。

 

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フェンネルの科学研究

生理痛におけるフェンネルの作用を調べた研究

イランの研究機関で、中程度または重度の月経困難症を患っている15~24歳の患者60名を対象に、プラセボ対照二重盲検臨床試験を行なったところ、服用5時間後に、統計学的に有意な差が確認されました。
フェンネルを服用した52%が、かなりの改善効果があると報告したのに対し、プラセボグループで改善を報告した人は8%。
フェンネルに、生理痛緩和効果があることが明らかとなったのです。

52% of registered patients in study group stated the treatment as excellent, 20% reported as moderate and 28% as slight or no effect on pain. But in placebo group 8% reported excellent effect, 48% moderate and 44% stated the treatment has a slight or no effect.

Effect of fennel on pain intensity in dysmenorrhoea: A placebo-controlled trial

フェンネル種子とディル種子の抗菌効力について調べた研究

インドの大学研究で、フェンネルとディルの種子抽出物は、肺炎桿菌および緑膿菌の1株を除いて、すべての細菌に対してかなり良好な抗菌活性を示しました。一般的な抗生物質と比較して、これらの種子抽出物は同等の抗菌性を示しました。
この結果から、フェンネルの抗菌作用はかなり強力だということが証明されました。

Hot water and acetone seed extracts showed considerably good antibacterial activity against all the bacteria except Klebsiella pneumoniae and one strain of Pseudomonas aeruginosa.

Antibacterial and phytochemical screening of Anethum graveolens, Foeniculum vulgare and Trachyspermum ammi