ネトルティーは、アレルギー症状・関節炎・痛風・むくみ などに効果があるとされる健康茶。
原料である西洋イラクサの茎や葉の表面が「刺毛(しもう)」と呼ばれる鋭いトゲに覆われていることから、「針」を意味する英語「ニードル」に由来して名付けられました。「天然のマルチビタミン」と称されるほど、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。
ネトルティー 基本情報
原料 | 西洋イラクサの葉、茎、根 |
原料の主な産地 | ヨーロッパ大陸、北アメリカ大陸 |
カフェイン | ノンカフェイン |
主な成分 | ケルセチン、ケンフェロール、クロロフィル、カロテノイド、ビタミンB、C、K1、トリテルペン、ステロール、カルシウム、マグネシウム |
作用 | 抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、利尿作用 |
味覚 | 自然な甘みがあり、まろやかな味わい |
ネトル(西洋イラクサ)の歴史
ネトルの繊維質で作られた布地
ネトルティーの原料である西洋イラクサは、古くから食物、織物の繊維、医薬品として用いられてきました。
デンマークでは、紀元前2000~3000年前の西洋イラクサを使った埋葬用の布が発見されていますし、1世紀のローマでは、スープなどに入れて食べたり、医師が薬として利用したりしていたという記録が残っていることからも、古来から人間の生活に欠かせない植物であったことがわかります。
第一次世界大戦中のドイツ人の兵服は85%がイラクサ繊維で作られていたようです。
医薬品としては、19世紀ごろまでは主に関節痛の治療や利尿薬として利用されていましたが、科学的な研究が進んだ現在では、前立腺肥大症や尿路感染症、アレルギー症状などにも効果があることが明らかとなり、さまざまな炎症系疾患の改善に利用されています。
ネトルティーの期待できる効能
- アレルギー性鼻炎改善
- アトピー性皮膚炎改善
- 花粉症
- ニキビ改善
- 美肌
- むくみ改善
- 腎臓病予防
- 前立腺肥大症予防
- 関節炎改善
- 痛風改善
ネトルティーの原料には、西洋イラクサの成長初期の葉や茎を使用することが大切。
花が咲いた後の茎には、人間にとって害となる物質が含まれるといわれています。
ここで、ネトルティーに含まれる主な有効成分が、人間の体にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。
ケルセチンとケンフェロールが、アレルギーや泌尿器系疾患に効く
ネトルティーの原料である西洋イラクサの葉には、ケルセチンやケンフェロールなどのフラボノイド類が豊富に含まれていて、アレルギーの原因物質であるヒスタミン分泌量を減らし、炎症を抑える作用があります。
花粉症や鼻炎などのアレルギー性疾患や、関節炎や通風などの炎症性疾患にも効果あり。
また、これらの成分は腎臓に直接作用し、尿の排出量を増やして尿酸を除去する働きをします。
筋肉やリンパ系に蓄積された老廃物を除去できるので、体の機能が高まり代謝が活性化。排尿障害改善にもつながります。
そのため、ネトルティーはむくみ解消の他に、腎臓病予防や前立腺肥大症予防効果が期待できるのです。
カロテノイドが肌の不調を改善し、美肌作りをする
強力な抗酸化作用があるカロテノイドは、細胞の老化を促進する活性酸素を除去して、皮膚や粘膜を保護する作用があります。
植物が紫外線によって発生する活性酸素から自分の身を守る為に生産している成分なので、人間の体内でも同様の働きをしてくれるのです。
このカロテノイドを含むネトルティーは、皮膚を保護して強化するため、アトピー性皮膚炎や湿疹、かぶれなどの改善に効果を発揮します。
肌トラブルを解決するクロロフィルとトリテルペンが、ツルツルの肌を作る
クロロフィルはアルカリ性と解毒性を有していて、ニキビの治療、湿疹や発疹などの皮膚のトラブルに効果を発揮します。
また、ネトルティーに含まれるトリテルペンには抗炎症作用、抗菌作用があり、アレルギーや関節炎、皮膚の炎症をやわらげます。
どちらも、上記カロテノイドの皮膚保護作用と相まって、美肌効果を高めてくれる成分です。
ステロールと植物エストロゲンが、本来カラダが持つ機能を呼び戻す
西洋イラクサの根には、ステロールや植物エストロゲンなどの化合物が含まれていて、抗炎症作用やコレステロール吸収阻害作用、血流増加作用などがあります。
ネトルティーに含まれる他成分との相乗効果により、アレルギー抑制効果を高め、体の機能を正常化する働きをします。
豊富なミネラル類とビタミン類が、細胞を元気にして活力がアップする
ネトルティーには多くのミネラル、ビタミン類が含まれています。
特にカルシウムとマグネシウムの含有量が高く、ほうれん草と比べると、カルシウムは29倍、マグネシウムは10倍も多いことがわかっています。
これら多くの栄養素を含むネトルティーは、血流増進効果と相まって、体のすみずみにまで酸素を栄養を運び、体の細胞を活性化させる効果もある健康茶だと言えます。
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ネトルティーの副作用
ネトルティーはホルモンに作用するため、妊娠中の女性は飲まないほうが良いとされています。最悪の場合、流産の危険もあります。
ネトルティーは、アスピリンと同様に血液を薄くして凝固能力を低下させる可能性があるので、心臓疾患、腎臓疾患、ホルモン系疾患を患っている人は、医師と相談の上、飲用してください。
また、ネトルティーは血糖値を下げる作用もあるため、糖尿病治療中の人は飲用に際して注意が必要です。
抗ヒスタミン剤に敏感な人は、ネトルティーを飲むと眠気、けいれん、口渇などの副作用が現れる場合もあるので、初めて飲む際は薄目に作って体調を見ながら飲用すると良いでしょう。
ネトルティーの効果的な飲み方
ネトルティーの効果を実感するには、一日3~4杯飲むと良いとされています。
特に、食間に飲むと、代謝が促進されて体の機能が正常化することで、自然に食欲を抑えることができるそう。
関節炎改善のためには、お茶を飲むことにプラスして、ネトルティー湿布をするとより効果的。
熱湯をかけて柔らかくした茶葉をガーゼで包み、患部に当てると痛みが和らぎます。
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ネトル(西洋イラクサ)の科学研究
ネトルの免疫活性作用について調べた研究
トルコの大学での研究により、ネトルに含まれるフラボノイド配糖体には高い免疫賦活作用があることが明らかとなりました。
ネトルは、好中球機能欠損および慢性肉芽腫症の患者の治療に有用である可能性が示唆されています。
The results of both assays confirmed the immunostimulatory activity of the flavonoid fraction and the isolated flavonoid glycosides on neutrophils suggesting that they could possibly be useful for treating patients suffering from neutrophil function deficiency and chronic granulomatous diseases.
In vitro immunomodulatory activity of flavonoid glycosides from Urtica dioica L.
ネトルの前立腺肥大における作用を調べた研究
イランで行なわれた研究で、620人の前立腺肥大患者に6ヶ月間、ネトルとプラセボを用いた二重盲検テストを行ないました。ネトル群の81%で、症状の改善と前立腺サイズの適度な減少が見られ、テストステロンレベルは変化せず、副作用は確認されませんでした。対して、プラセボ群の改善報告は16%だったことから、ネトルは前立腺肥大疾患に有益な治療薬となる可能性があるとされています。
By intention- to-treat analysis, at the end of 6-month trial, 232 (81%) of 287 patients in the Urtica dioica group reported improved LUTS compared with 43 (16%) of 271 patients in the placebo group (P < 0.001).
ネトル抽出物の抗炎症作用について調べた研究
アメリカの大学研究により、ネトル抽出エキスは強力な抗炎症作用を有し、炎症性障害を治療する従来のチンキ従来のチンキ(水、メタノール、エタノール)より優れた結果が出ました。ネトルは、関節炎や炎症性疾患の治療に、化学物質よりも効果的であることが確認されたのです。
Collectively these results suggest that using lipophilic extracts of the roots, stems or leaves of stinging nettle may be more effective then traditional tinctures (water, methanol, ethanol) to undergo clinical evaluations for the treatment of inflammatory disorders including arthritis.
ネトルのホルモンへの影響
ネトルには、男性ホルモンのテストステロンを上昇させる3つの作用があることが明らかとなっています。
1、テストステロンをエストロゲンに変換させるのを阻害する作用。
2、5a-レダグターゼという、テストステロンの代謝産物を生産する酵素を阻害する作用。
3、テストステロンと結合しているタンパク質とくっついて、テストステロンを活性化する作用
Inhibiting aromatase, an enzyme which converts testosterone to estrogen
Inhibiting 5a-reductase, an enzyme which converts testosterone to its metabolite dihydrotestosterone (DHT)
Binding with SHBG, a protein which normally binds to testosterone and makes it inactive
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