ブラックコホシュ茶は、更年期障害・PMS・生理痛・骨粗しょう症 などに効果があるとされる健康茶。

白く美しい花を咲かせる植物が原料ですが、ハーブティ―に利用されるのは、名前の由来にもなった黒い根の部分。女性生理機能に作用する成分を豊富に含んでいます。

ブラックコホシュ茶 基本情報

原料 ブラックコホシュの根
原料の主な産地 北米大陸
カフェイン ノンカフェイン
主な成分 トリテルペン配糖体、フィトエストロゲン、イソフェルリン酸、タンニン、アルカロイド
作用 エストロゲン類似作用、鎮痙作用、抗炎症作用、抗酸化作用、鎮静作用
味覚 多少の苦みと漢方薬のような風味がある。

ブラックコホシュの歴史

ブラックコホシュの根

 

北アメリカ原産のブラックコホシュは、アメリカインディアンの間で古くから薬用に使われてきました。
関節炎、リウマチ、女性のホルモン系疾患を改善するために、ブラックコホシュの根を煎じて服用していたようです。

1950年頃ヨーロッパに伝わり、婦人科系疾患のほか、発熱、のどの痛み、咳などを抑えるクスリとして一般的に用いられていました。
ニキビや吹き出物の治療、虫よけ剤として直接肌に塗って使用していたそう。

現在では、PMSや更年期障害を改善するためのハーブティーやサプリとして利用されることがほとんどですが、ドイツなどでは呼吸器系トラブルに効く医薬品としても認定されています。

ブラックコホシュ茶の期待できる効能

  • PMS(月経前症候群)の改善
  • 更年期障害の改善
  • 骨粗しょう症予防
  • 生理痛緩和
  • 咳・気管支炎の緩和
  • 不安感の解消
  • 糖尿病予防
  • 不眠症改善

ブラックコホシュ茶には、女性の生理機能をサポートしてくれる有効成分がたくさん含まれています。

ここで、ブラックコホシュに含まれる成分が、人間の体にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。

フィトエストロゲンが、女性ホルモンと同様の作用をする

ブラックコホシュは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする、フィトエストロゲン(植物由来エストロゲン)を含んでいます。
エストロゲンの分泌低下による更年期障害や、ホルモンバランスの乱れによるPMS改善に効果を発揮します。

のぼせ、発汗、めまい、不安感、怒り、イライラ、不眠など、女性ホルモンバランスの乱れで起こる症状全般に効果的ですが、特に、エストロゲン減少によって引き起こされるホットフラッシュを予防する高い効果は、研究実験によって実証済みです。

また、閉経後、体内のエストロゲンが減少して起こる骨粗しょう症を予防する効果も見込めます。

多くの効能がある有機化合物が、生理痛を和らげたり糖尿病を防いだりする

ブラックコホシュに含まれるトリテルペン配糖体などの有機化合物は、筋肉のけいれんを防ぎ、緊張をゆるめる作用があるので、けいれん性の痛みである生理痛を緩和します。
喉の筋肉にも作用し、咳を抑える効果もあるとされています。

そして、骨からカルシウムが流出するのを防ぐ働きもあるので、フィトエストロゲンの働きと相まって、閉経後の骨粗しょう症予防効果を高めます。

また、近年の研究で、ブラックコホシュには、体重を減少させてインスリンの産生を促進する作用があることが分かり、糖尿病予防効果が期待できるようです。

炎症を抑えるイソフェルリン酸は、皮膚疾患に効く

イソフェルリン酸には抗炎症作用があり、ホルモンバランスの影響で起こるニキビや吹き出物などの皮膚トラブルを改善します。
昔、北アメリカやヨーロッパでは、ブラックコホシュの抽出液を直接肌に塗って、美肌作りをしていたのだそう。

アルカロイドが血の巡りを良くして、カラダを活性化させる

ブラックコホシュに含まれるアルカロイドは、体内の血液循環を改善し、身体に活力を与えます。
ホルモンバランスの乱れでが原因の疲労感、だるさを改善

また、鎮静作用もあるので、神経の興奮を抑えて不眠症を改善します。
PMSや更年期障害の不安感やイライラ感など、精神的な不快感を軽減。更年期障害で起こる睡眠障害にも効果的です。

タンニンが老化を防いで、アンチエイジング効果を発揮する

ポリフェノールの一種であるタンニンは、抗酸化作用があり、細胞の老化を防いで免疫力を高める働きをします。
肌の収れん作用もあるので、イソフェルリン酸の働きとの相乗効果で、美肌作りに役立ちます。

ブラックコホシュ茶の副作用

ブラックコホシュ茶は、体質によって胃部不快感、頭痛、発疹などの副作用が起きる場合があります。
副作用が起きた場合は、すぐに飲用を止めてください。

また、お茶ではなくブラックコホシュのサプリを1ヶ月間服用していた女性が、肝炎を発症したという報告もあります。
ブラックコホシュと肝炎の相互関係は明らかとなっていませんが、有効成分を高濃度で含んだサプリは、お茶よりもかなり薬効が強いため、副作用も起こりやすいと考えられます。

ブラックコホシュ茶は、ホルモンに作用するので、妊娠中や授乳中の女性は飲むのを控えてください。

ブラックコホシュ茶の飲み方

小さじ2~3倍の茶葉を、75~80℃のお湯200ccで3分間蒸らします。

更年期障害やPMS対策として飲用する場合は、リラックス効果がある「カモミール」や精神安定作用がある「セントジョンズワート」とブレンドすると、リラックス効果が倍増するので、イライラ感やストレスの解消に高い効果が期待できます。

ブラックコホシュの科学研究

ブラックコホシュの糖尿病に対する影響を調べた研究

スイスでのマウスを使った研究により、ブラックコホシュの抽出物Ze450は、2型糖尿病の治療に有益であることが明らかとなりました。臨床的に使用するためには、更なる研究が必要とされています。

Ze 450 may have utility in the treatment of type 2 diabetes. However, longer term studies in additional animal models or patients with disturbed glucose tolerance or diabetes may be of use to investigate this further.

Antidiabetic effects of the Cimicifuga racemosa extract Ze 450 in vitro and in vivo in ob/ob mice.

ブラックコホシュの骨形成における影響を調べた研究

アメリカのワシントン大学での研究で、ブラックコホシュに含まれる化合物ACCXには、骨量減少をよくせいする働きがあることが明らかとなりました。このことは、ブラックコホシュが骨粗しょう症に役立つ可能性を示唆しています。

Importantly, this compound attenuates TNFalpha-induced bone loss in vivo. Therefore, ACCX represents a potential lead for the development of a new class of antiosteoporosis agents.

A triterpene glycoside from black cohosh that inhibits osteoclastogenesis by modulating RANKL and TNFalpha signaling pathways.

閉経後の睡眠障害におけるブラックコホシュの影響を調べた研究

中国の研究で、45~60歳の睡眠障害を有する閉経後女性にブラックコホシュを服用させたところ、睡眠障害が改善されました。ブラックコホシュが不眠症に安全で効果的な手段となりえることが明らかとなりました。

In early postmenopausal women with a major sleep complaint, black cohosh effectively improved sleep and might be a safe measure in managing menopausal sleep disturbance.

Black cohosh improves objective sleep in postmenopausal women with sleep disturbance.

ブラックコホシュと肝臓障害の関連性

アメリカに住む44歳の女性が、ホットフラッシュを改善するために1ヶ月ブラックコホシュのサプリを飲んだところ、CTスキャンにより肝臓へのダメージが確認され、医療従事者に注意喚起されています。

We present a case of a 44-year-old female who developed subacute liver injury demonstrated on a CT scan and liver biopsy within a month of using the drug to resolve her hot flashes and discuss a possible temporal and causal association between black cohosh use and liver disease.

Black cohosh and liver toxicity: is there a relationship?