オトギリソウ茶は、肝機能改善・抗うつ・ガン予防 などの効果があるとされる健康茶。

ハーブティーのセントジョーンズワートとオトギリソウ茶は同じものと思われがちですが、セントジョーンズワートはセイヨウオトギリソウ(学名がperforatum)が原料であり、日本のオトギリソウ(学名erectum)とは品種が異なります。

オトギリソウ茶 基本情報

原料 オトギリソウの茎や葉
原料の主な産地 日本、朝鮮半島、中国大陸の草地や山野
カフェイン ノンカフェイン
主な成分 セレン、タンニン、配糖体、フラボノイド、樹脂
作用 抗酸化作用、発ガン抑制作用、抗菌作用、鎮静作用
味覚 多少の薬草臭がある

オトギリソウの歴史

オトギリソウの花や葉の赤い点々には、悲しい伝説があります。

 

オトギリソウは、漢字で「弟切草」と書きます。
由来は、「昔、ある鷹匠が、傷ついた鷹の手当てに薬草を使っていた。人に訊かれても薬草の事は秘密にしていたのに、弟が人にばらしてしまったので腹を立てた鷹匠は、弟を切り殺してしまった。その返り血がオトギリソウの葉や花に黒く点々と残っている・・・」というなんとも悲しい話。

オトギリソウは、江戸時代の古書に「捻挫に乙切草を煎じ用ふ。また、痛む処を洗って良し」と記載されていて、一般的に広く利用されていたクスリであったことが分かります。
昔は、濃く煎じたものを、切り傷や捻挫の外用薬として、皮膚に直接塗ったり、患部を洗ったりして使用していたようです。

オトギリソウ茶の期待できる効能

  • 止血
  • 肝炎改善
  • 肝硬変予防
  • 脳卒中予防
  • 抗うつ
  • ガン予防
  • ストレス改善

濃く煮詰めて塗ればキズ薬、煎じて飲めば病気予防となるオトギリソウ茶。

ここで、オトギリソウ茶に含まれる有効成分が、人間の体にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。

セレン(セレニウム)がガン細胞の増殖を妨げる

セレンの抗酸化作用には、発ガン抑制効果があることがマウスを使った実験により明らかとなっています。
セレン無投与ならガン発生率80%のところ、セレンを投与すると3%までに抑制できるとのことです。

オトギリソウ100gには、セレンが9.2ppmも含まれているため、お茶として飲用することで、ガン予防効果が期待できるのです。

血液成分を改善するタンニンが肝臓疾患に効く

オトギリソウに含まれるタンニンには、血液の赤血球や白血球を増加させる働きがあります。
古くからオトギリソウが止血薬として利用されてきたのも、このタンニンの働きによるものなのでしょう。

お茶として飲んでも、タンニンが血液成分が改善するので、肝炎や肝硬変などを改善するといわれています。

炎症を抑える作用もあるので、喉が痛い時に、うがい薬としても役立ちます。

セロトニン分泌を促す配糖体(ヒペリンシン)が、うつ症状を改善

オトギリソウ種にのみ含まれる成分。脳内の神経伝達物質の1つセロトニンの分泌を促進し、感情や精神のバランスを整える作用があります。
そのため、オトギリソウ茶は、抗うつや神経安定に効果が期待できます。

フラボノイドが血管を強化して血液の詰まりを防ぐ

オトギリソウ茶には、ルチン、クエルセチンなどのフラボノイドが含まれていて、血管補強作用があります。脳卒中予防効果があるとされています。

樹脂がストレスを和らげて、リラックスさせる

イライラ感を緩和して、ストレスを解消する作用があり、配糖体(ヒペリンシン)の抗うつ効果と相まって、神経を鎮めて心の安定効果を高めます。

オトギリソウ茶の副作用

オトギリソウ茶に含まれる成分は、医薬品と相互作用する場合があり、服薬している人は、オトギリソウ茶を飲用する前に医師と相談してください。

オトギリソウ茶には抗うつ作用がありますが、一般的な抗うつ薬で見られる副作用が起きることはめったにありません。
ただ、まれに、精神的興奮や生殖能力低下などの軽度の症状が現れることがあります。

オトギリソウ茶の効果的な飲み方

オトギリソウ茶でウイスキーや焼酎を割ると、翌朝に残らないそう。
肝臓機能を向上させるオトギリソウ茶は、二日酔い防止対策にも使えるということですね。

喉の痛みには、オトギリソウ茶5~10gを水500ccが半量になるまで煎じたものを冷ましてうがいすると効果的。
リウマチや捻挫には、茶葉を倍量で煎じて、患部に湿布すると痛みが和らぎます。

 

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オトギリソウの科学研究

オトギリソウ抽出物の抗がん活性について調べた研究

韓国での研究で、オトギリソウの5つの成分を単離し、それぞれのガン細胞に対する影響を調べたところ、オトギロン、オレキオンBは、ガン細胞増殖阻害活性を示しました。このことは、オトギリソウがガン抑制作用があることを示唆しています。

Compounds 2, 4 showed notable growth inhibitory activity against chloroquine-sensitive strains of Plasmodium falciparum with IC(50) values from 5.6 and 7.2 microM.

Antiplasmodial and cytotoxic activity of phloroglucinol derivatives from Hypericum erectum Thunb.

オトギリソウの抗菌活性について調べた研究

日本の研究で、オトギリソウを含む4種類の植物抽出液の口腔細菌に対する作用を調べたところ、オトギリソウの抽出物が、最も高い抗菌活性を示しました。

The strongest antibacterial activity was observed for the hot water extract of H. erectum, which exhibited significant activity against oral bacteria, including Streptococcus oralis

Antibacterial Activity of Hypericum Erectum