セントジョーンズワートティーは、うつ症状・PMS・更年期障害 などに効果があるとされる健康茶。

日本ではあまり馴染みのないハーブでですが、欧米では「うつ病のためのハーブ」と言われ、気分の落ち込みやストレス、不眠症を改善するために一般的に飲用されています。

セントジョーンズワートティー 基本情報

原料 セントジョーンズワートの葉や茎
原料の主な産地 ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ大陸
カフェイン ノンカフェイン
主な成分 ヒペリシン、ハイパーフォリン、ルチン、ケルセチン、ケンフェロール
作用 セロトニン分泌促進作用、神経伝達物質調整作用、抗菌作用、抗炎症作用
味覚 草の風味と、若干の苦みがある。

セントジョーンズワートの歴史

オーストラリアのセントジョーンズワート畑

 

セントジョーンズワートは、キリスト教の聖ヨハネ(Johannes)が生まれた6月24日前後に花を咲かせs収穫が行われるため、その名が付けられました。ワートは、英語の古語で「草」を意味します。

2000年以上にわたり、抗うつ薬や抗炎症薬として利用されてきたセントジョーンズワート。1世紀ごろの古代ギリシアでは、神秘的で保護的なチカラを持つ植物として珍重していたそう。
アメリカの先住民族インディアンは、抗炎症剤、消毒剤、中絶薬としてセントジョーンズワートを利用していたといいます。

オーストラリアでは長い間、たんなる雑草と考えられていましたが、現在では大規模に栽培されていて、全世界供給量の20%を生産しています。

セントジョーンズワートティーの期待できる効能

  • うつ症状改善
  • PMS改善
  • 更年期障害改善
  • 動悸改善
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)改善
  • 強迫性障害改善
  • 季節性情動障害改善

植物による代替療法が盛んなドイツでは、セントジョーンズワートが医薬品として認定されていて、軽度~中度のうつ病治療薬として医師が処方しています。
日本では食品として分類されているので、お茶として手軽にその効能を得ることが可能。

ここで、セントジョーンズワートティーに含まれる有効成分が、人間の体にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。

ヒペリシンが脳内伝達物質を増加させて、うつ症状を改善に導く

うつ病はさまざまな要因が重なって起こる脳の病気ですが、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンなどの脳内神経伝達物質が不足することが大きな原因の1つ。

セントジョーンズワートに含まれるヒペリシンは、セロトニン欠乏で起こるうつ症状を改善します。脳内でセロトニンの分泌量を増やし、神経伝達をスムーズにするのです。

セントジョーンズワートティーを継続的に飲むことで、気分の落ち込みがなくなったという声もよく聞かれます。

うつ病治療薬と同様の作用があるハイパーフォリン

セントジョーンズワートのもう一つの主要成分であるハイパーフォリンは、脳内神経伝達物質の量を調整し、適正な量に保つ作用があります。

近年の研究では、上記ヒペリシンよりもこのハイパーフォリンの方が、うつ症状改善効果が高いことが明らかとなり、ハイパーフォリンは、一般的な抗うつ薬である、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と同様に機能することが確認されています。

不安、疲労、食欲不振、睡眠障害などのうつ症状の他、ADHDやOCDなどの心の病気と言われる症状にも効果があるようです。
また、PMSや更年期障害による気分の浮き沈みをやわらげる効果もあります。
北欧などに多い、冬の日光不足が引き起こす季節性情動障害などにも有効。

フラボノイド類がアトピーなどのアレルギー症状を抑える

セントジョーンズワートは、フラボノイドの一種であるルチンやケルセチン、ケンフェロールなどを含んでいるので、抗酸化作用があり、アレルギー症状に効果が期待できます。
特に、アトピー性皮膚炎に効くとされ、研究が進んでいます。

セントジョーンズワートティーの副作用

セントジョーンズワートは多くの医薬品と相互作用をするので、厚生労働省も注意喚起しています。

グレープフルーツが薬と相互作用することは良く知られていること。
グレープフルーツに含まれる成分が、肝臓での酵素の働きを阻害するので、薬が代謝されずに長時間体内にとどまることで、効きすぎてしまうのです。
それと同じ作用がセントジョーンズワートにもあるので、服薬している人は注意が必要です。

また、セントジョーンズワートの副作用として、吐き気、めまい、パニックアタック、精力減退が起きる可能性があります。直射日光に当たると肌に発疹が現れる光過敏性を発症したという報告も上がっています。

これらの症状の多くは、サプリメントでセントジョーンズワートの成分を多く摂取した場合に起こりやすく、お茶として適量飲む分には重篤な副作用のリスクは少ないのですが、初めてセントジョーンズワートティーを飲む場合は、薄目に作って少量ずつ体調を見ながら飲んで下さい。

セントジョーンズワートティーの効果的な飲み方

セントジョーンズワートティーを飲みはじめてから、早い人では1週間で効果を実感するといいますが、通常は少なくとも4週間ほどの継続的な飲用により徐々に効果が現れてくるようです。一日カップ1~2杯を目安に飲んでください。

更年期障害改善には、セントジョーンズワートティーと、ブラックコホシュティーをブレンドすると、効果が高まります。

神経の興奮を抑える作用があるので、安眠効果を得るために夜寝る前に飲むのがオススメ。

セントジョーンズワートティーは、飲む以外にも利用方法があります。
軽い火傷や切り傷などに、セントジョーンズワートティーを濃く煮出した液を塗ると、傷口の治りを早めることができます。

 

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セントジョーンズワートの科学研究

セントジョーンズワートのPMS症状における影響を調べた研究

イギリスの大学で行なわれた研究により、18~45歳の36人のPMSを患う女性に、一日900mgのセントジョーンズワートを服用させたところ、セントジョーンズワートは、PMSの一般的な諸症状に効果があることが明らかとなりました。

Daily treatment with Hypericum perforatum was more effective than placebo treatment for the most common physical and behavioural symptoms associated with PMS.

The efficacy of Hypericum perforatum (St John’s wort) for the treatment of premenstrual syndrome: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.

セントジョーンズワートの更年期障害に対する作用を調べた研究

ドイツでの研究で、更年期障害を患う女性がセントジョーンズワートを服用したところ、心理的および心身的症状の大幅な改善が観察されました。体調に関する不満がなくなったと76%の人が回答、医師も効果を認めています。治療後の性的幸福感も改善されたことも注目に値します。

Substantial improvement in psychological and psychosomatic symptoms was observed.  diminished or disappeared completely in the majority of women (76.4% by patient evaluation and 79.2% by physician evaluation). Of note, sexual well-being also improved after treatment with St. John’s Wort extract.

St. John’s Wort extract: efficacy for menopausal symptoms of psychological origin.

セントジョーンズワート主要成分であるヒペフォリンのアトピー性皮膚炎における作用を調べた研究

ドイツで行なわれた、ヒペフォリン含有クリームとプラセボ(偽薬)との比較実験により、ヒペフォリンクリームは、アトピー性皮膚炎の有効な改善薬になる可能性があることがわかりました。

Taken together, the present study shows a significant superiority of the hypericum-cream compared to the vehicle in the topical treatment of mild to moderate Atopic Dermatitis.

Topical treatment of atopic dermatitis with St. John’s wort cream–a randomized, placebo controlled, double blind half-side comparison.